「ほら、口開けて?」
「っ……も、もう。尊くんの意地悪…」
ピキン。
俺の脳に電流が走った。
たった今花音が言った言葉が頭の中でリピート再生。
俺は気を取り直して、花音に“あーん”をする。
小さな口で、フォークをくわえるすがた。
…小動物みたい。めっちゃ撫でたい。
「ん…! おいしいよ、尊くんっ」
「え…? あぁ、うん……よかったね」
目の前の女の子が可愛すぎて気が動転してた。
なんか俺、さっきから可愛いしか言ってないね。
「甘さもそんなにないから、これなら尊くん食べられるかもっ」
そう言った花音。
俺の手元からフォークと紅茶ケーキを奪って、俺がしたのと同じようにケーキを切る。



