【完】溺愛禁止令






「どれで迷ってる?」


「抹茶ケーキか紅茶ケーキ」





甘いもの苦手だけど、男見せるか。
ちょっとでもかっこいいとか頼りになるとか思われたいし。



ある種の印象操作だよね。
なんとでも言え。





「じゃあ、花音抹茶頼めば? 俺、紅茶のほう頼むよ」


「えっ! ……でも、さっきケーキいらないって…」





そんな不安そうな顔しないで。
俺、花音のためならなんでもしてあげたいんだよ。





「気分変わった。やっぱり俺も食べたい」


「……ありがとう。尊くん、優しいね…」




感動して瞳潤ませてるとこ悪いけど。
その顔かわいすぎるしね。



俺が優しい?
…花音限定でね。




花音といると俺が俺じゃないみたいだ。
軽く限界突破くらいはできてしまいそう。



優しいね、って感動してるくらいだったら。
…俺のこと、そのまま好きになってくれてもいいんだけどな。