「あ、あのね、お兄ちゃんが美容学生だから、手伝ってくれて…」
「へぇ、花音ってお兄さんいるんだ」
「うん! 大学生なんだけど、美容師目指してるらしくてっ」
学校の外だからか、いつもよりよく喋ってくれる気がする。
花音のお兄さんかぁ。きっと顔整ってるんだろうな。
…花音の家族、俺もなりたい。
なんて、一歩間違えたら気の早すぎる希望を抱いて、俺は花音の手をすくうように握る。
「へ…?」と戸惑う花音のことは横目に。
デートだからね。
許して。…恋人繋ぎ、くらい。
「み、みことく…ん、これはさすがに…っ」
あー。
そんな声で名前呼ぶなって。
普通に俺も男だから、花音のこと組み敷こうと思えば出来るんだぞ。
…なんて、言ってもわかんないか。
花音、純情そうだし。
はぁ…。
ごめんな、こんな不純なやつが、花音にべた惚れで。



