「変じゃない。めちゃくちゃ似合ってる」
「ほんと…?」
「嘘つかないよ、俺」
そう言うだけで、さっきまでの涙目は消え去り、「へへ」と嬉しそうに緩む口元。
なんだこの生き物。
…ムリすぎる。
悪い意味じゃなくて、もちろんいい意味で。
息を整えて、もう一度花音の姿を下から上まで眺める。
一度も染めたことのなさそうな黒髪は下の方で緩く巻かれていて、その上細い束をサイドテールに。
それから、白いふわっとした襟のブラウスに、黒いショーパン。
……なにより、その目。
普段しないメイクをして、メガネは外して、コンタクト。
なにこれ。似合いすぎてる。
…俺のため? おしゃれしてきてくれたの?
もしかして…デートって、言ったから?



