【完】溺愛禁止令






待ち合わせ場所。駅前。
そんなことを考えながらぼーっとしていたら、ちょんちょん、と俺の服の裾を引っ張られた。




「お、遅れてごめんっ…」





思わず硬直。
俺より一頭身以上低い彼女を見下ろして、言葉を失った。



遅れてないし。
時間通りだし。



…でも、それよりもまず。





「…なに、そのかっこう」





俺の言葉に、花音は焦ったように自分の髪やら服やらを触る。




「えっ…や、やっぱり変だった……?」





そうして俺が何も言わないでいると、勝手に負の連鎖に陥って潤んでいく瞳。



あー、もう……可愛いな。