「やめないなら、一生視力失った状態で生活する?」
「っ……い、意地悪しないでください…」
キッと睨みつけてみると、余裕そうに笑う尊くん。
…わたしが何を言っても効かないんだろうし、観念するしかないか。
「…わかった。尊くん、メガネ返して」
そういって手を差し出すと、あっさりメガネが返ってきた。
すぐにかけなおして、視力の戻った状態でもう一度尊くんを見上げる。
「……え」
目の前の光景に、目を見開く。
…だって。
あの尊くんが、耳まで顔を赤くしていたから…。
「っ……あんま、見ないで」
焦った様子で顔を腕で隠す尊くん。
…なぜだろう。
少しだけ、かわいいと思ってしまったのは。
──それが、わたしと尊くんの、
絶妙な関係のはじまり。