かといって、緊張が解けたわけではないんだけど。
尊くんの端正な顔に見とれていたら、次第に視界がぼやけていく。
戸惑っているうちに、ぼやけた世界の中、尊くんと見つめ合っていることに気づいて慌てて目をそらす。
目をそらす直前、尊くんの手にわたしの丸メガネが握られているのが見えたから、尊くんにメガネを取られたんだってことだけが分かったけど。
「み、尊くんっ……返して、くださ…」
「…メガネ外すと超かわいいじゃん」
…え?
一瞬、何を言われたかわからなかった。
だけど、気づいた瞬間にかぁぁ…と顔が熱くなっていく。
抗議の声も虚しく、これ以上はなにも言えなくなる。



