「花音はシンデレラで言うところのシンデレラだし、白雪姫で言うところの白雪姫だ。…つまりは、ええと」
あの尊くんが、言葉に詰まってる。
さっき、わたしを家に誘うときよりも、ずっと。
「……シンデレラって、最後王子とどうなったか知ってる?」
「え、と……結ばれて、幸せに…」
尊くんは目を細めて笑いながら、わたしの髪をサラッと撫でた。
「うん。つまり、ヒロインとヒーローは結ばれるべきなんだ。もし、花音が俺のことをヒーローだと言ってくれるなら──」
そんなの、疑うことも迷うこともない。
最初から答えは決まってた。
「み、尊くんはっ……ずっと、わたしの世界でヒーローだったよ…っ」



