【完】溺愛禁止令






「正解。小波花音さん」


「っ……」





今日は、なんだか朝から変だ。
絃くんといい、芙遥くんといい、わたしのフルネームを当てられてしまうなんて。




明日は雨が降るんじゃないだろうか…なんて、考えていたら。





「俺のこと、尊って呼んで」


「え…?」


「絃のこと下の名前で呼んでたろ」


「…そうですけど」





困った。
まさか、一日でふたりも男の子を名前呼びすることになるとは。





「…ま、ムリならいいんだけどさ」


「む、むりじゃないですっ……」





勢いで言ってしまった。
…なんだか、がっかりされたくなかったんだもん。