当たり前だけど、映画再生中だからふたりとも喋らない。
部屋の中には俳優さんや女優さんの声だけが響く。
心臓の音、聞こえちゃわないかな。
そして、映画は終盤へ。
ヒロインがヒーローを追いかけて、腕をつかんだ。
『わたし…っ、友達だって言ったけど、本当は……!』
女の子が言い終わる前に、男の子が無理矢理口を奪って…。
…キ、キスしちゃった…。
やっぱり尊くんと見たの失敗だったかも。
顔から火吹けるくらい熱いよ…。
尊くんも何も言わないし。
鼓動は加速するばかりで収まる気配なんかしない。
…も、どうにでもなれ…って気持ち。
それだけ、だった。



