「すみません…お邪魔します」と控えめにリビングへ入り、ダイニングテーブルのイスに腰を下ろしたわたしと尊くん。
尊くんのお母さんらしきひとは、「まあまあ! よく来てくれたわね」って歓迎ムードだ。
「それにしても、尊にこんなかわいい彼女がいたなんてねぇ」
「だから彼女じゃねーって!!」
ほんわか笑うお母さんに鋭いツッコミ。
そりゃそうなんだけど、改めてちゃんと否定されると胸の奥が痛い。
「あなた、お名前なんて言うの?」
「あ…花音、です……」
「花音ちゃんね。食べられないものとかある?」
「ないです」
どうしよう。
尊くん、いわば、好きな人……の、ご家族に名前を覚えられてしまった。



