【完】溺愛禁止令






「あ、あの……」


「ん?」




思い切って彼の顔を見上げると、何食わぬ顔で首を傾げられて目をそらしたくなる。



ダメ…やっぱり、わたしにはまぶしすぎる。





「なんで、わたしの名前知ってるんですか…?」





純粋な疑問をぶつけると、図書室だから遠慮してくれてるのか、それでいて盛大に笑われた。



ひとしきり笑ったあと、その人はもう一度わたしを見下ろして。





「そりゃ、クラスメイトだもん」





あ…そうか。
普通、クラスメイトの名前を覚えるのって当たり前なんだ。




わたし、今まで人に名前を覚えられない人生を歩んできたから、気づかなかった。