その名前を見て心がざわつく。
見なきゃよかった…かも。
「うるせ…」
尊くんが独り言をつぶやいて、千代森さんとのトークをミュートにする。
…返す気はさらさらなさそう。
でも、不思議だなぁ。
だって…だってさ?
「…無視はするのに、連絡先消さないの…?」
言ったあとで、ハッと気づいた。
く、口に出すつもりなんかなかったのに…!!
尊くんはわたしの顔を見つめて不思議そうにしたあと、小さく口角を持ち上げる。
「…消してほしいんだ?」
「ち、ちがっ……そんなこと、言ってな…」
否定しようとしたそのとき。
気づいたときにはもう遅くて。



