周りにも人がいるとはいえ、久しぶりに二人きりになってわたしがドキドキしていると。
「……もう、俺につかまってて」
って、顔を逸らしながら言うものだから。
心臓壊れちゃいそうだよ…。
わたしは控えめに尊くんのすそをつかんで、そのあとをついて歩く。
…どうしよう、ほんとに好きなんだ、わたし…。
じわじわと恋の実感がわいてくる。
「坂瀬となんかあったの」
「…え?」
「さっきの会話、きこえたから」
…聞かれちゃってたか。
隠した方がいいのかもしれないけど、尊くんに嘘はつけなかった。
「昨日、告白されちゃったんだ、坂瀬くんに」
「…ふーん。返事は?」
「こ、断ったよ!」
…でも、自分を好きで居てくれてる人を振るのってあんなにつらいんだね。
あのあと、部屋に戻ってこころちゃんに泣きついちゃったし。
「ならいいけど」
「…うん?」
ねぇ、目合わせてよ。
もっと尊くんと話したいよ。
…だって、分かったんだ。
わたしが尊くんのこと、どれだけ好きか。
尊くんはわたしのこと、良くて友達くらいにしか思ってないんだろうけどね…。
──友達のその先を見てみたい。
もちろん、あなたの隣で。



