千本鳥居をくぐりながらよそ見をしていたら。
「小波さん、前向いてないと危ないよ」
確かに一理ある、としっかり前を向こうとした瞬間。
ガクッ、と視線が揺れて、一瞬で全身から冷や汗が吹き出る。
…でも、一向に痛みはこない。
もしかして誰かが支えてくれたのかも…と思って慌てて目を開けたけど。
その相手は、こころちゃんでも、坂瀬くんでもなく。
「きゃ……み、尊くんっ」
なぜか、わたしたちより少し前を歩いていたはずの尊くんだった。
わたしが体勢を持ち直す間に、
「さっすがスマートだねぇ、尊は」
と坂瀬くんが茶化しながら通り過ぎていく。
こころちゃんもニヤニヤしながら前の方に取り残された絃くんの方へ走っていく。



