「あのう、すいません」
さて、読むか…と本と向き合っていたら、突然上から声が降ってきた。
「これ、返したいんですけど」
「あ、はい」
立ち上がってバーコードを読み込む。
本を読むのに夢中になってると、たまに生徒の声に気づかないことあるんだよね…。
読み始める前でよかった。
「はい、返却確認しました」
その女の子は、長いポニーテールを揺らしながら図書室を出て行く。
可愛い子だったな…。あんな感じの子は、どこにいてもモテそう。
わたしとは正反対…。
…高校に入学してから、そんなことばかり考えてる気がする。
なんだか、ますます根暗になった気分。
実際そうなんだけどさ…。



