「はぁ…。気が気じゃないから、マジでやめて」
「…はい。ごめんなさい」
なんで尊くんが怒ってるんだろう。
まぁ、普通に、子供じゃないんだからはぐれんなってことかな…。
「こんな敷地限られてる中で迷子になんないでよ」
やっぱりそうだ。
情けなくなって俯きながら「…ごめん」と謝ると、今度は両頬を包まれて上を向かせられる。
「俺の顔見て。怒ってるように見える?」
「……み、みえないれす」
「うん。花音が無事でよかったって安心してるんだよ。だからもう謝んないで」
「…ふぁい」
尊くんに頬をむにってされてるせいでうまく喋れない。
そろそろ離してほしいなぁ…と思っていたら、パッと離された。
それはそれで寂しいなんて、矛盾かな?
…さっき、与田さんに腕に絡みつかれてたけど。
それも振り切って探しに来てくれたってこと、だよね…たぶん。
…嬉しい。
それだけで感無量だよ、本当に。
尊くんはわたしを喜ばせる天才なのかもしれない、と思った一日目だった。



