その男の人はおもむろに手を離すと、わたしのメガネを代わりに拾ってくれた。
あれ。実はいい人…?
「ありがとうございま……」
「ストップ」
ありがたくメガネを受け取ろうと手を伸ばすと、なぜか遮られた。
…なんか既視感あるなぁ、この状況。
「連絡先交換してくれたらメガネ返してあげる」
「え…」
連絡先…?
知らない人と…?
こ、怖すぎる。
でもメガネは返してほしいし…。
というか、やっぱりこれ。
はじめて図書室で尊くんと喋った日と同じだ。
あの日も、メガネ返してほしかったら敬語やめてって交換条件を突きつけられて…。
…だけど、こんなにときめかないのはなんでだろう。



