「えー、今日、芙遥は熱で休みだそうだ」
途端にざわつく教室。
「放課後遊びに誘おうと思ってたのに」 とか。
「尊くんにクッキー焼いてきたのにー!」 とか。
あがる声はさまざま。
…尊くんが熱? 心配、だなぁ…。
そのまま朝礼は終わって、わたしの机にこころちゃんが近寄ってきた。
「尊くんお休みだって」
「…うん、そうみたいだね」
「お見舞い行っちゃいなよ」
…えぇ? お見舞い?
わたしが…?
尊くんだって、きっと千代森さんや他の女の子がお見舞いに来たほうが嬉しいよ。
「いや、わたしは……」
否定しようとしていたら、こころちゃんのうしろから絃くんが顔を出した。