【完】溺愛禁止令







「あれ、花音?」


「……え」





振り返ると、そこには。




「やっぱり花音だ!」




嬉しそうに駆け寄ってくる、尊くんの姿。



…な、なんでこんな日に限って遭遇しちゃうの。




「尊くん…どうして」


「近くでカラオケしててさぁ。疲れたから早めに抜けて来たとこ」





じゃあ、わたしと状況はおんなじだ。
だけど、なんだか気まずい…。
別に尊くんとはただの友達なんだから、後ろめたいことなんかなにもないはずなのに…。





「いやー、こんなとこで花音に会えるなんて奇跡かも」


「…ふふ、大げさだよ」


「大げさなんかじゃ……って、花音。なんか疲れてんね」




やっぱりわかっちゃうよね。
今目つぶったら一瞬で寝れそうだもん。