【完】溺愛禁止令






「いないですよ」


「えー? 意外だなぁ。こんなかわいいのに」




頬杖をついて微笑みながらこちらを見てくる。
…チャラい。



たぶん、こういうひとたちにとっては”かわいい”って挨拶がわりなんだ。





「花音ちゃんって自己肯定感低めだよね?」


「…んー、そうかも…」


「もったいない。俺だったら花音ちゃんみたいな子放っておかないのに」





…それも、誰にでも言ってるんだろうな。



はぁ…もう疲れちゃった。
帰りたいなぁ。




「あ、花音ちゃんお水いる?」


「…はい」




退屈なときほど飲み物に手を伸ばす頻度が高くなるって言うのは、どうやら本当だ。