【完】溺愛禁止令





「花音は何位くらい狙ってるとかあるの?」


「わたし? …うーん。一桁後半くらいでいいかなぁ」




成績は大事だし、かといって目立ちたくないし。
前回は確か8位とかだったから。





「さすがに余裕だな。花音先生は」


「…先生って、やめてよ」




そんなキャラじゃないってば。
尊くんの隣を歩きながら苦笑い。





「そういう尊くんは?」


「…えー、俺は……半分よりちょい下くらい」


「理想低いね」





わたしが何気なく返すと、彼は「だって俺バカだし」と口をとがらせた。



…なんかちょっと可愛いかも。





「そうだ。尊くんがよければ…なんだけど」


「ん?」


「テストまで、毎日一緒に勉強する?」




なーんて。
千代森さんともしたいだろうし、わたしなんかがでしゃばるなって感じだよね。




焦って、「やっぱり気にしないで」と言おうとしたそのとき。





「する!! …まさか花音から誘ってもらえると思ってなかった」





突然の大声にびっくりして顔を見上げれば、やけに嬉しそうにしてたから…。



…あぁ、誘ってよかったな、って思った。