「…ん、花音」
「え?」
ぼーっとしてたら突然名前を呼ばれたから、ハッと現実に引き戻される。
…ど、どうしよう、尊くんのこと見てたのバレたかな?
「そろそろ帰ろっか」
「…あ、あぁ、うん!」
よかった。
バレてないみたい。
わたしたちはそそくさと机の上の勉強道具を片付けて立ち上がった。
「尊くん、明日こそは絃くんに返さなきゃだめだよ?」
シャーペンと消しゴムね。
それを言うと、尊くんは思い出したように。
「あぁ! 忘れてた、ありがとう花音」
…わたしにお礼を言うの?
感謝されて悪い気はしないからいいけど。



