「ううん。それどころか、今まで誰のことも好きになったことないよ」
…今まで、誰のことも?
それって。
「じゃあ、元カレもいないってこと?」
「いないいない! わたしと付き合いたい人なんかいないよー…」
あはは、と苦笑いをする花音。
それならここにいるんですが…。
…でも、そっか。
花音、付き合ったことないんだ。
もしこれで俺を好きになって、俺と付き合うことになったりしたら。
花音の初恋の相手も、初彼氏の座も、俺が独り占め。
…なんだよそれ。
ますます燃える。
ぜったい、誰にも渡さない。
「花音」
…なんかいま、いつも以上にすげー愛おしいかも。
その子の名前を呼んで、自然に手を繋いだ。
今度こそ、花音は顔を赤くしてくれる。
…うん、その顔が見たかったんだ、俺。
──俺の隣、きみにしかあげない。