「同じクラスだったし、去年」
「あ…気づいてたんですね」
「当たり前。ずっと喋ってみたいなーって思ってたんだ」
そう言うと、絃くんはまた太陽みたいな笑顔で笑った。
…わたしなんかと、どうして?
そんなことを聞くのは野暮な気がして、ただ口を噤んだ。
あぁ…ダメだなぁ。
こういうときに会話が続けられない。
人と会話しようとすると、こうして自分の情けない部分ばかり浮かんでくるから嫌なんだ。
「ちょっと絃くん」
「ん、こころちゃんもおはよ」
わたしが俯いていると、隣で数学の勉強をしていたこころちゃんが強めに絃くんの名前を呼んだ。



