花音って、ずるいんだよな。
限りなく天然で、俺に期待させるようなことをすぐ言う。
敵わない、っておもわせられる。
だから好きなんだろうけど。
「尊くん」
「…ん?」
「あっちのほう…行ってみたい」
もうペンギンはいいの?
いいよ、花音が行きたいところぜんぶ行こうね、って。
ほら、また。
俺は気がつけば、花音主体の考え方をする癖がついた。
俺の世界では、いつでも花音だけが主人公でヒロインなんだ。…それだけは揺るがない。
ひとりで先に行こうとする花音の手を、するっと滑り込ませるように握った。
…なんか、もう慣れちゃったみたいだね。
もっと俺でドキドキしてよ。
顔、赤くしててよ。
俺のこと、意識してよ。



