高校に入学してから今まで、一年間。
目立つことなく、ひっそり、こっそり、平穏に過ごしてきた。
同級生どころか、クラスメイトに言わせても
わたしの名前を間違えずに言えるひとのほうが少ない。
そのひとがいてストーリーが成り立つ、
いわば”主役”と呼ばれるひとがいるような作品では
わたしは決まって、というか、絶対モブキャラ。
それも作中に一度、背景に映るかどうか。
…つまり、わたしの人生はそれくらいなんてことないってこと。
別に、友達は少なくていいし。
シンデレラに憧れた幼少期。
今は、傍観者でじゅうぶん。
このまま、今ある友情を狭く深く抱えたまま
何事もなく卒業を迎えるんだと思ってた。
──それなのに。
「…メガネ外すと超かわいいじゃん」
どうして。
…なんで、こんなことになってしまったんでしょうか。