それから日々は過ぎていき、

気づけばもう8月の半ばにさしかかっていた。




その日は朝からスミレと会っていた。


チアキ君が親元に帰って以来、ラファロの定休日は火曜日に戻っていた。


だからオレ達にとって、火曜日は唯一、1日中一緒に過ごせる日だった。



二人でスーパーに行って、夕食の材料を買い込む。


オレが押すカートにテキパキと食材を入れていくスミレ。


「なぁ、今日のメニュー何?」


「んー? 内緒―?」


ブラックオリーブの瓶を片手にニッコリ微笑む。


さっきからニンニクやケイパーなんかを選んでいるから、イタリアンであることは間違いないみたいだ。


「次は缶詰コーナーね」


「ハイハイ」


言われた通り、缶詰が置いてある棚にカートを進める。


スミレはホールトマトとアンチョビの缶詰を手にした。


「あ! ピザやろ!」


「ぶぶー。惜しい~」


「惜しいってことは、もうパスタしかないやん!」



オレの突っ込みに「あはは」と笑うスミレ。

だけどその表情はすぐに固まった。


その視線の先にいたのは見覚えのある親子づれ。



桂木とチアキ君だ。