「朔、違うの…あのね」

「怒ってないよ」

「…」

「また心配してただろ?俺の言葉を否定したこと。怒ってるって思った?」

「朔がせっかく言ってくれたのに…」

「シイナが要らないならそれでいいんだ。プレゼントするならそろそろアクセサリーとかあげてもいい関係なんじゃないかとも思うしね」

「アクセサリー?」

「うん。付き合い始めの頃にそういうのあげたら気持ち悪いかなって思ってあげてなかったけどさ。今の俺達ならネックレスとかブレスレットとかならいいだろ?」

正直、その提案には心が躍った。

コロコロと変わる私の感情は勝手だ。

あんなに朔のことが怖いと思っていたのに、
“恋人”を証明するようなアクセサリーは嬉しいと思う。

名前の呼び方や肩書きなんて不確かな物じゃない。

目に見える、朔が私を彼女だって認めてくれる証明だ。

「うん。嬉しい…」

「やっと元気になった」

「ごめんね…。やっぱり本当は怖かったの。朔が良くない人と付き合ってるかもしれないってこととか、犯罪みたいなことするの、嫌だった」

「ごめん。俺が間違ってたよ。どんなに大切な人でもダメだよな。どうかしてた」

「分かってくれたならいいの。私は朔だけだから変な心配しないで?」

「シイナ。もう一度俺のこと信じてくれる?もう絶対にしない」

「うん」

「ありがとう」

朔が私をギュッと抱き締めた。
誰かに見られるかもしれないのに、私は朔を振り解けなかった。

もう一度…朔を信じたかった。