君が死ねばハッピーエンド

「じゃあ、ちーちゃん。先に行くね」

「うん。また明日ね」

放課後。
ちーちゃんにバイバイって手を振るのがすごく久しぶりなことのように感じた。
たった二日、三日程度のことだったのに。

「シイナ、バイト?」

「うん。夜にまた連絡するね」

「分かった。途中まで一緒に帰ろう」

「うん!」

教室を出て、下足箱で上靴から履き替えるまでの間、同級生、先輩、後輩問わず、何人もの女子が朔を羨望の眼差しで見送った。

文化祭の日以来、朔の人気は上昇する一方だった。

沢山の女子がキラキラした目で朔を見つめるたびに、私は俯いて地面ばかりを見つめてしまう。

そのたびに朔が「シイナ?」って私の名前を呼んで、覗き込む。

朔の優しい目。
甘い声。

どれもが全部私の物で、誰にも渡すつもりなんかない。
朔には私だけでいい。

強く、そう言えることができたなら、こんなにうじうじしなくて済むのに。

そんなこと言えるはずも無いし、思うことすらできない。