「もう大丈夫だから…泣かないで。ご近所さん達がびっくりしちゃう」

「ん…ごめん…私達に泣く権利無いのに」

「シイナちゃん、明日は学校来てくれる?」

「…頑張るよ。私だってこのままは嫌だから」

「ありがとう…」

「あ、そうだ。朔とちーちゃんは?あの後教室に戻ったと思うんだけど」

「うん…。あの後またみんなで話したの。ちーちゃんは全部自分のせいだって…。自分がもっと冷静になってればこんなことにはならなかったって…」

「ちーちゃんのせいなんかじゃない!悪いのは本当の犯人だけだよ。だからもう、私達がいがみ合うのは辞めよう?こんな風になったのは全部犯人が悪いんだから」

「シイナ、ありがとう。私達も今度こそ、正しい人間になるよ」

「うん…。」

陽がすっかり落ちて、街灯が灯り始めた。
何も羽織らずに出てきたからけっこう寒い。

「それじゃあ…私達は行くね」

「うん。来てくれてありがとう」

「こっちこそ。私達の…話を聞いてくれてありがとう」

委員長が頭を下げる。
すっかり暗くなったから表情はよく見えなかったけれど、たぶんまた、泣きそうになっている。

みんなが手を振って、私に背を向けた。
その背中が見えなくなるまで見送った。

クルッて振り返ったら、いよいよママが玄関先に出て来ていて、「寒いでしょ」って、カーディガンを掛けてくれた。