君が死ねばハッピーエンド

声を出したグループの子達が私と朔を振り返ったのを合図に、さっきまで騒がしかった教室のクラスメイト達が次々と私達に気がついて、静まり返った。

「シイナ。行こ」

朔に手を引かれて教室に入る。

何人かが朔に向かっておはようって言った。

「ちーちゃん来てないよ」

そばに居た女子が私に言った。

「うん…何度も連絡してるんだけど…」

「来れるわけないじゃん」

「連絡してるだけ?迎えには行かないんだ」

「自分はラブラブ登校してるくせにー」

口々と、わざと大きな声で言ったり、グループの子達とコソコソ言い合ったり、
私に向けられるのは罵倒だけだった。

「私は…!ちゃんとちーちゃんに話を聞いて欲しくて…私は本当に犯人じゃない!ちゃんと誤解を解きたくて何度も…」

「自分のことばっかだね」

「ちーちゃんちーちゃんって言うけど、そのちーちゃんが一番疑ってんのにね…」

私の気持ちは届かない。
言葉は届いていても、本当に、“言葉が届いている”だけだ。

責められれば責められるほど、私がクラスの中で信用されていなかったことが浮き彫りになっていくようで悲しかった。

“私だから”なのか、
被害者が「コイツだ」って言ったら全面的にそうなるのかは分からない。

「お前らいい加減にしろよ。シイナが絶対にヤッたんだってはっきり言える奴いんのかよ!?」

「だって朔くんも見たでしょ?この子のハサミが現場に落ちてたってちーちゃん言ってたじゃん」

「どこにでも売ってるハサミだろ。キーホルダーだって…」

「キーホルダーも誰でも手に入るやつかもしんないけどさ、確かアレってガチャガチャのだよね?狙って引けるわけじゃないのにさすがに偶然過ぎない?ちーちゃんも言ってたけど、その持ち主がわざわざちーちゃんを狙ったんだよ?そんなのデキ過ぎてるでしょ」