美術室に戻ったら、イーゼルの上の絵も、棚に置いたハサミも無くなっていた。
慌てて美術室を飛び出して近くを見て回ったけれど、ちーちゃんも、絵を抱えているかもしれない人物も居ない。
絵もハサミも確かに無くなっている。
私が教室やトイレに行っている間に。
誰かが持ち去った。
なんの為に?
でもきっと、ちーちゃんなんじゃないかなって思って、何度も電話をかけたけれどやっぱり出てくれなくて、私は職員室へ行った。
「先生!」
「………あなた!大丈夫なの!?」
担任の先生も今日は学校中を回っているだろうから職員室に居るか分からなかったれど、たまたま居てくれて良かった。
「ちーちゃん見ませんでしたか!?」
「たった今…。早退するって」
「帰ったんですか?」
「ええ。あんな状態じゃ文化祭を楽しむなんて無理だから」
「…すみません、私も早退していいですか」
「分かったわ…。あなたもそれどころじゃないだろうし。残念だけど」
「すみません」
「大丈夫なの?」
「先生…。先生も私を疑ってますか…」
「まさか」
「え?」
「これは事故なんじゃなくて確実に人の手によるものだってことが先生は悲しくて仕方ない。理由がなんであれ絶対に許されないことよ。でもあなたが犯人じゃないってことは分かる」
「なんでですか」
「あなたがこんなに泣きそうな目をしてるから。ううん…。きっともういっぱい泣いたのね。こんなに目を腫らしちゃって。大丈夫よ。間違ってない人が負けるはずないんだから」
慌てて美術室を飛び出して近くを見て回ったけれど、ちーちゃんも、絵を抱えているかもしれない人物も居ない。
絵もハサミも確かに無くなっている。
私が教室やトイレに行っている間に。
誰かが持ち去った。
なんの為に?
でもきっと、ちーちゃんなんじゃないかなって思って、何度も電話をかけたけれどやっぱり出てくれなくて、私は職員室へ行った。
「先生!」
「………あなた!大丈夫なの!?」
担任の先生も今日は学校中を回っているだろうから職員室に居るか分からなかったれど、たまたま居てくれて良かった。
「ちーちゃん見ませんでしたか!?」
「たった今…。早退するって」
「帰ったんですか?」
「ええ。あんな状態じゃ文化祭を楽しむなんて無理だから」
「…すみません、私も早退していいですか」
「分かったわ…。あなたもそれどころじゃないだろうし。残念だけど」
「すみません」
「大丈夫なの?」
「先生…。先生も私を疑ってますか…」
「まさか」
「え?」
「これは事故なんじゃなくて確実に人の手によるものだってことが先生は悲しくて仕方ない。理由がなんであれ絶対に許されないことよ。でもあなたが犯人じゃないってことは分かる」
「なんでですか」
「あなたがこんなに泣きそうな目をしてるから。ううん…。きっともういっぱい泣いたのね。こんなに目を腫らしちゃって。大丈夫よ。間違ってない人が負けるはずないんだから」



