君が死ねばハッピーエンド

「怖い?」

「怖いって?」

「今朝のこと。そりゃ怖いよな。俺だって驚いたし」

「怖いっていうか…不安のほうが大きいかな。なんで朔に関係のある物だけが壊されたんだろうって。朔に対して何かを訴えてるんだったらどうしようって…」

「だとしたら、なんだと思う?」

「…やっぱり…ストーカー的な…?」

「だったらシイナはどーんと強気でいればいいよ」

「強気で?」

「俺はシイナの物だよ。彼女は自分なんだから邪魔するなって強気でいればいい」

「そんなの無理だよ!もっと危ないことしてくるかもしれないし…それに朔は人気者だから、きっとみんなその可能性が高いって思ってる。でもそうじゃないかもしれないじゃん…。本当に嫌がらせかもしれないし…」

「どっちでもいいよ」

「え?」

「みんなが思ってくれるように、俺は人気者なんかじゃないし、嫌がらせの可能性のほうが高いんじゃないかなって思ってる。でも理由なんてどうでもいいんだ」

「そんな…怖くないの?」

「シイナが信じてくれたから。悪いのは俺じゃ無いって。だからどうだっていいんだよ。シイナにさえ悪いことが起きなければそれで」

「朔…」

周りがなんて言ったって、私は絶対に朔の味方で居よう。
朔がこれ以上悲しい思いをしなくていいように。

朔の泣き出しそうな目を見ていたら、実際は何もしてあげられない自分に苦しくなった。