君が死ねばハッピーエンド

「シイナ、手伝うよ」

「あれ?朔?」

ジュースを買いに行った女子は戻ってこなくて、代わりに朔が立っている。

「あー、なんかさ、さっき廊下で会ったんだけど、今日本当は塾だったんだって。でも自分まで行っちゃったらシイナが一人になっちゃうからって。だから、俺が行くからいいよって帰ってもらったんだ」

「そうなんだ!言ってくれれば良かったのに…。私が言えなくさせてたのかな…」

「そうじゃないよ。協力したいって思ったんだろ」

「でも…悪いことしちゃったな」

「じゃあ後でメッセージでも送っといてあげな。向こうも安心するだろうし」

「そうする。ありがと」

「じゃあ俺も作業しようかなー」

「私もそろそろ行くね。お邪魔しましたー」

わざとらしくニヤッと笑って手を振りながらちーちゃんは行ってしまった。

「バイト大丈夫?」

「ちーちゃんにも聞かれた。大丈夫だよ。渚先輩も居るし」

「今日も一緒だったんだ」

「うん。確か」

「ふーん。それなら良かった」

「何が?」

「バイトは大丈夫そうで良かったって意味」

「うん、まぁ…そうだね」

朔と一緒に棺の継ぎ目を調整したり、実際に朔が中に入ってみて、サイズを確認したりした。

一日中文化祭の準備をしていたから、形だけは七時頃には完成した。

見回りの先生が「そろそろ帰りなさい」って声を掛けに来て、私達の他にも教室に残っていた四人くらいの生徒達が帰る支度を始めた。

教室を一番最後に出たのは私と朔だった。