ハサミの切り口の上に、ぐちゃぐちゃに黒が重ねられているからあの時は気づかなかった。
切り口を繋げてちゃんと見たら「朔」の文字になっている。
「私の最高傑作」
「…」
「綺麗でしょう。シイナもバカだよね。“絵を辞めないで”なんて。本当に笑い崩れるかと思っちゃった。こんな最高傑作を生み出してなんで絶望するのよ」
「なんで私を助けたの…。あのまま黙ってれば私を犯人にしたまま、ちーちゃん悲劇のヒロインになれたのに」
「朔が全然シイナを疑ってなかったし、それどころか“俺が守る”とか言い出しちゃって、逆効果だったんだよね。それにハサミのこと、先に気づいたのは朔だったの」
「ちーちゃんは…」
「あんたの利き手なんて気にしてるわけないじゃん。なんにも考えないで用意した物だったし。そしたら朔がね、会おうって言ってきたの。文化祭の振休の日の夜。“ハサミを持ってたら持ってきて欲しい”って言われた。二人で会ってることが両親にバレたらマズいし、あの神社で待ち合わせたの。もしもシイナが彼女じゃなくて、私と朔が引き裂かれてなかったらこうやって二人で居られたのかなって思った」
あの日、朔は私にも連絡をくれた。
その後にちーちゃんに会ったのかな。
じゃあ朔は、次の日にはもう大丈夫って知ってたんだ。
「ハサミを渡した瞬間に“やっぱり”って言ったの。“シイナはこのハサミは使えない”って。“だから良かったな”って。私とシイナがまた親友に戻れるって思って、朔は喜んでた。私の気持ちはまたぐちゃぐちゃになった。このまま黙ってるわけにいかないし、種明かしをしなきゃ朔に不審がられるだけだからしぶしぶ、また名演技を打った。でも、もうねぇ…!」
ちーちゃんが大声を出す。
怒りに満ちた目。
歯を食いしばっているのか左の口角だけがキッと上に向いている。
「もう我慢できなかった!はやくシイナを消したい。あの女さえ居なければ…あいつのせいで…私には朔しか居ないのに、あんたは誰だっていいくせになんでわざわざ朔なのよ!だから私、文化祭のことが解決してあんたが早退した日、朔と話したの。“シイナは救われたけど私の心は救われてない。だって犯人は見つかってないもん。だからお願い。せめて支えが欲しいよ。みんなの前で他人みたいな呼び方したくない”って。あんたが変な嫉妬心持ってることも知ってたからだよ。本当に思った通りの反応してくれてありがとね」
切り口を繋げてちゃんと見たら「朔」の文字になっている。
「私の最高傑作」
「…」
「綺麗でしょう。シイナもバカだよね。“絵を辞めないで”なんて。本当に笑い崩れるかと思っちゃった。こんな最高傑作を生み出してなんで絶望するのよ」
「なんで私を助けたの…。あのまま黙ってれば私を犯人にしたまま、ちーちゃん悲劇のヒロインになれたのに」
「朔が全然シイナを疑ってなかったし、それどころか“俺が守る”とか言い出しちゃって、逆効果だったんだよね。それにハサミのこと、先に気づいたのは朔だったの」
「ちーちゃんは…」
「あんたの利き手なんて気にしてるわけないじゃん。なんにも考えないで用意した物だったし。そしたら朔がね、会おうって言ってきたの。文化祭の振休の日の夜。“ハサミを持ってたら持ってきて欲しい”って言われた。二人で会ってることが両親にバレたらマズいし、あの神社で待ち合わせたの。もしもシイナが彼女じゃなくて、私と朔が引き裂かれてなかったらこうやって二人で居られたのかなって思った」
あの日、朔は私にも連絡をくれた。
その後にちーちゃんに会ったのかな。
じゃあ朔は、次の日にはもう大丈夫って知ってたんだ。
「ハサミを渡した瞬間に“やっぱり”って言ったの。“シイナはこのハサミは使えない”って。“だから良かったな”って。私とシイナがまた親友に戻れるって思って、朔は喜んでた。私の気持ちはまたぐちゃぐちゃになった。このまま黙ってるわけにいかないし、種明かしをしなきゃ朔に不審がられるだけだからしぶしぶ、また名演技を打った。でも、もうねぇ…!」
ちーちゃんが大声を出す。
怒りに満ちた目。
歯を食いしばっているのか左の口角だけがキッと上に向いている。
「もう我慢できなかった!はやくシイナを消したい。あの女さえ居なければ…あいつのせいで…私には朔しか居ないのに、あんたは誰だっていいくせになんでわざわざ朔なのよ!だから私、文化祭のことが解決してあんたが早退した日、朔と話したの。“シイナは救われたけど私の心は救われてない。だって犯人は見つかってないもん。だからお願い。せめて支えが欲しいよ。みんなの前で他人みたいな呼び方したくない”って。あんたが変な嫉妬心持ってることも知ってたからだよ。本当に思った通りの反応してくれてありがとね」



