君が死ねばハッピーエンド

「クラスのどいつもこいつも的外れな推理ばっかりして、誰も私に辿り着けない。“私は無関係だ”って言われてるみたいで胸糞悪かった!あいつらの誰よりも朔に一番近いのは私なのに!ハ…あはははは!だから自作自演してやったの」

「自分で…自分の絵をめちゃくちゃにしたの?」

「そう。だれも私を犯人だと思わないのなら、逆に被害者になって、被害者同士、朔とおそろいになってやろうって。元々私と朔っておそろいじゃない?こんなに相応しいことって無いじゃない!それで、いっそシイナを犯人にしてやればいいじゃんって閃いた時は胸が躍った。これでやっと、あんたを消せるって思った」

「キーホルダーは…」

「憶えてない?あのガチャガチャを回してちょっとした頃にシイナの家に遊びに行ったじゃない。その時に盗っといたの。あの時の私、マジでグッジョブ!シイナってさ、けっこうズボラなとこあんじゃん。無くなっても絶対気づかないと思ってた。生徒手帳だって気づいてないしー」

床に放り投げたままだったハサミを拾い上げて、グリップに人差し指を通してクルクル回すちーちゃんを見ながら、そう言えばちーちゃんも同じガチャガチャを回したけれど、同じ物は当たらなかったことを思い出した。

“犯人”がたまたま同じ物を持っていたんだって思っていたけれど、アレは本当に私の物だったんだ。
ちーちゃんの言う通りだ。
私ってズボラで…だからこんな目にも遭うんだ。

「なんでそんなことができるの?ちーちゃんは絵が大好きで、それは本当に心から描いてたじゃん!なんでそんなこと…」

「朔より大切な物なんて無い」

「ちーちゃん」

「あんたと違ってね」

「そんなことない!私だって朔のこと本当に…」

「一緒にしないで!渚先輩との関係に朔がどれだけ悩んでたか知ってんの!?ずっと不安がってた!朔には頼ったり甘えたりしないくせに、渚先輩には“俺の彼女”とか平気で言わせたりもしてるじゃん!」

「だからそれは!」

「私は絶対に朔が傷つくことしたりしない!なのになんであんたなんか…」

「だからって…あんなことしたの?」

ちーちゃんがスマホを取り出して、私に向けた。

一枚の写真。写っているのはぐちゃぐちゃになったちーちゃんの絵だった。

「ちゃんと見て。誰も気づかないんだもん。私の愛を」

あの時は、ぐちゃぐちゃに塗りつけられた黒い絵の具や、切り付けられた傷の部分、部分ばかりに、まるで目がシャッターを切るみたいに捕らわれていた。

絵の全体を引きで撮った写真。
今も脳内再生だって容易にできるくらい、脳裏に焼き付けられていた絵の有り様が、その全容が目に飛び込んでくる。

「朔…」