「好きな女の子を自分だけの物にしたくて拉致・監禁しました。でもそんなこと、高校生がうまくやり遂げられるわけがない。後悔と世間からの目に恐怖を覚え、耐えられなくなった彼は自殺。女の子は愛する恋人の手によって無事救出されましたとさ。めでたし、めでたし、とはいかないけどね。だって、“女の子”の命だって保証されてないんだから」
「死ぬってどういうこと!?先輩に何をしたの!?」
「シイナは何も知らなくていい。あなたを心から想ってくれた人は、あなたが知らないうちに無情にも死んでいくの。どうせ人間は死ぬ生き物なんだから、怖がらなくていいよ?そんなことよりシイナ、全部あんたに消えて欲しくてやったことなのに、怖くないの?人の心配してる余裕なんかある?」
「ちーちゃん…本当に全部…全部ちーちゃんがヤッたの?」
優しかったちーちゃん。
弱くてダメな私をちーちゃんはいつも引っ張ってくれた。
同い年なのに、一人っ子の私にはお姉ちゃんみたいで、ちーちゃんと居ると居心地が良かった。
その全部が憎しみで、復讐の為に作られた時間だなんて信じたくなかった。
「ぜーんぶそうだよ」
「棺を壊したのも?」
「あー、そう言えばあれが最初だったね。あれには笑ったなぁ。っていうか、みんなのバカさに?」
「どういうこと?」
「棺が壊される前日さ、何人かが遅くまで残ってたでしょ。シイナはバイトで帰ってたけどさ。私も美術室で絵を描いてたの。最初は事件を起こそうなんて思ってなかった。でも、気が変わった。キリがいいところで作業を終わらせて、教室に寄ったの。ちょうど朔が帰ろうとしてるとこだった。シイナが心配だから迎えに行くって言ってた。その瞬間に心の中にブワーってモヤモヤが広がってさ。それからみんなももう帰ろうかってなって、一緒に教室を出たの。廊下を歩きながら私、言ったんだよね。“忘れ物したから先に帰ってて”って」
「鍵はどうしたの」
「みんなさー、そこをすっかり忘れてんだよ。あの日、鍵を閉めた人なんて誰も居ない。見回りの先生の誰か、もしくは当直の用務員のおじさんのどっちかだね。鍵を閉めるのなんて事務的だもん。中に生徒が隠れてるかもしれないのに、流れ作業で閉めてたんじゃないかな。それなのにクラスメイトの誰かだって必死で探してさ。ほんと、笑いをこらえるの大変だったー」
「朔に関係ある物を壊して罪悪感は無かったの?」
「その逆だよ」
「逆?」
「“あなたに対してこんなに異常愛を向けるのは私だけです”って知って欲しかった。“こんなことをしそうなのは千種だな”って、朔にだってピンときて欲しかった。なのにっ…!」
ちーちゃんはその時の感情を思い出したかのように右手で自分の髪の毛をギュッと掴んで、憎々しげに壁をこぶしで叩いた。
「死ぬってどういうこと!?先輩に何をしたの!?」
「シイナは何も知らなくていい。あなたを心から想ってくれた人は、あなたが知らないうちに無情にも死んでいくの。どうせ人間は死ぬ生き物なんだから、怖がらなくていいよ?そんなことよりシイナ、全部あんたに消えて欲しくてやったことなのに、怖くないの?人の心配してる余裕なんかある?」
「ちーちゃん…本当に全部…全部ちーちゃんがヤッたの?」
優しかったちーちゃん。
弱くてダメな私をちーちゃんはいつも引っ張ってくれた。
同い年なのに、一人っ子の私にはお姉ちゃんみたいで、ちーちゃんと居ると居心地が良かった。
その全部が憎しみで、復讐の為に作られた時間だなんて信じたくなかった。
「ぜーんぶそうだよ」
「棺を壊したのも?」
「あー、そう言えばあれが最初だったね。あれには笑ったなぁ。っていうか、みんなのバカさに?」
「どういうこと?」
「棺が壊される前日さ、何人かが遅くまで残ってたでしょ。シイナはバイトで帰ってたけどさ。私も美術室で絵を描いてたの。最初は事件を起こそうなんて思ってなかった。でも、気が変わった。キリがいいところで作業を終わらせて、教室に寄ったの。ちょうど朔が帰ろうとしてるとこだった。シイナが心配だから迎えに行くって言ってた。その瞬間に心の中にブワーってモヤモヤが広がってさ。それからみんなももう帰ろうかってなって、一緒に教室を出たの。廊下を歩きながら私、言ったんだよね。“忘れ物したから先に帰ってて”って」
「鍵はどうしたの」
「みんなさー、そこをすっかり忘れてんだよ。あの日、鍵を閉めた人なんて誰も居ない。見回りの先生の誰か、もしくは当直の用務員のおじさんのどっちかだね。鍵を閉めるのなんて事務的だもん。中に生徒が隠れてるかもしれないのに、流れ作業で閉めてたんじゃないかな。それなのにクラスメイトの誰かだって必死で探してさ。ほんと、笑いをこらえるの大変だったー」
「朔に関係ある物を壊して罪悪感は無かったの?」
「その逆だよ」
「逆?」
「“あなたに対してこんなに異常愛を向けるのは私だけです”って知って欲しかった。“こんなことをしそうなのは千種だな”って、朔にだってピンときて欲しかった。なのにっ…!」
ちーちゃんはその時の感情を思い出したかのように右手で自分の髪の毛をギュッと掴んで、憎々しげに壁をこぶしで叩いた。



