「シイナ、ありがと」
「ううん。ちーちゃんも待っててくれてありがとね」
それぞれがドリンクを一口飲んで、ちーちゃんが私に目配せした。
「あの、先輩。昨日のこと、本当にすみませんでした」
「なんでシイナちゃんが謝んの?」
「だって私のせいだし。そのせいでみんなが休みになっちゃって…」
「でもガラスを割ったりしたのはシイナちゃんじゃないだろ?心配しないで。店の誰もシイナちゃんを責めたりしてない。みんなで守るから」
「そのことなんですけどね、先輩!」
ちーちゃんがグラスを置いて、少しだけ前のめりになった。
「うん?」
「先輩は、何か心当たりはありませんか?」
「心当たり?」
「はい。バイト中にシイナに対して不審な態度を取ってる人とか…」
先輩は考える素振りを見せてから「そう言えば…」って言った。
「何かあるんですか!?」
「いや…。ほら、前にやたらと派手な髪色の男が三人、店に来た時あっただろ?」
「ありましたね」
頷く私に「何それ!?」ってちーちゃんが言った。
「その時さ、シイナちゃんが絡まれてて。俺が割って入ったんだよ。その…俺の彼女だからやめてくださいって」
「え!?先輩の彼女って言ったんですか!?」
「そうでも言わなきゃ引き下がりそうに無かったし、店で騒がれても困るからさ」
「なるほど…」
「でもさ?もしその中に本当にシイナちゃんを狙ってる奴が居て、たまたまじゃなくて計画的に店に来てたんだったら。それで俺が彼氏だって言ったのに、本当は違う男が彼氏だったことが分かった。それを盗撮して店にバラ撒いたんだとしたら、俺とシイナちゃんへの嫌がらせとしては辻褄は合うかなって…」
「確かに。シイナだけを狙ったストーカーか、もしくは朔か渚先輩のことで嫉妬した誰かの嫌がらせだって思ってたけど、本当は二人を狙った可能性もありますね」
「待って?なんで私と渚先輩のことで嫉妬するの?」
先輩はそれには答えないで、私から目を逸らしてメロンソーダを飲んだ。
「んー、まぁこの際だから言うけどさ」
「うん」
「朔って人気者なんだよ、すごく」
「分かってるよ…」
「渚先輩も、狙ってる女子が沢山居ること、分かってるでしょ?」
「俺が?」
「そうですよ!朔と付き合ってるってだけでも嫉妬の対象になりやすいのに、バイト先では渚先輩と仲良くしてるでしょ?反感は買いやすいかなって。そりゃ私はシイナが朔一筋なのは知ってるよ?でもみんながみんな、シイナのことを知ってるわけじゃないじゃん」
「確かに。表面だけ見れば…妬みの対象にはなるのかもな。俺は自分のことそんな風には思えないし、よく分かんないけどさ」
「じゃあ、パターンとしては…」
ちーちゃんが鞄からルーズリーフを一枚と筆箱を取り出した。
”A“と書いて、丸をいくつか書く。
私と渚先輩と朔の名前。それから“犯人“。
ドラマの相関図みたいに線を引いていく。
「カフェでシイナに恋をした犯人。声をかけるも”彼氏“だと名乗る男が現れて、機会を逃す。でも、本当の彼氏は別の男だった」
「ちょっと待って」
「ん?」
「文化祭での嫌がらせは?この人達が現れるよりも前のことだよ?」
「んー、例えば犯人には弟か妹が居て、共犯者になってもらった。シイナを困らせて、あたかもヒーローのフリをして姿を現すつもりだった、とか」
「それじゃあ最初から朔が彼氏だって知ってそうだよね」
「渚先輩が”彼氏だ“って言い出したけど、そこで異論を唱えたら自分がストーカーだってことがバレると思った。だから今回の事件を犯して”俺は知ってるんだぞ“ってことを訴えてきたってところかな?」
「無くはないよな」
「そうですね…」
ちーちゃんがペンを指先で回しながら私と渚先輩を順番に見て、それからルーズリーフを裏返してから”B“と書いた。
「ううん。ちーちゃんも待っててくれてありがとね」
それぞれがドリンクを一口飲んで、ちーちゃんが私に目配せした。
「あの、先輩。昨日のこと、本当にすみませんでした」
「なんでシイナちゃんが謝んの?」
「だって私のせいだし。そのせいでみんなが休みになっちゃって…」
「でもガラスを割ったりしたのはシイナちゃんじゃないだろ?心配しないで。店の誰もシイナちゃんを責めたりしてない。みんなで守るから」
「そのことなんですけどね、先輩!」
ちーちゃんがグラスを置いて、少しだけ前のめりになった。
「うん?」
「先輩は、何か心当たりはありませんか?」
「心当たり?」
「はい。バイト中にシイナに対して不審な態度を取ってる人とか…」
先輩は考える素振りを見せてから「そう言えば…」って言った。
「何かあるんですか!?」
「いや…。ほら、前にやたらと派手な髪色の男が三人、店に来た時あっただろ?」
「ありましたね」
頷く私に「何それ!?」ってちーちゃんが言った。
「その時さ、シイナちゃんが絡まれてて。俺が割って入ったんだよ。その…俺の彼女だからやめてくださいって」
「え!?先輩の彼女って言ったんですか!?」
「そうでも言わなきゃ引き下がりそうに無かったし、店で騒がれても困るからさ」
「なるほど…」
「でもさ?もしその中に本当にシイナちゃんを狙ってる奴が居て、たまたまじゃなくて計画的に店に来てたんだったら。それで俺が彼氏だって言ったのに、本当は違う男が彼氏だったことが分かった。それを盗撮して店にバラ撒いたんだとしたら、俺とシイナちゃんへの嫌がらせとしては辻褄は合うかなって…」
「確かに。シイナだけを狙ったストーカーか、もしくは朔か渚先輩のことで嫉妬した誰かの嫌がらせだって思ってたけど、本当は二人を狙った可能性もありますね」
「待って?なんで私と渚先輩のことで嫉妬するの?」
先輩はそれには答えないで、私から目を逸らしてメロンソーダを飲んだ。
「んー、まぁこの際だから言うけどさ」
「うん」
「朔って人気者なんだよ、すごく」
「分かってるよ…」
「渚先輩も、狙ってる女子が沢山居ること、分かってるでしょ?」
「俺が?」
「そうですよ!朔と付き合ってるってだけでも嫉妬の対象になりやすいのに、バイト先では渚先輩と仲良くしてるでしょ?反感は買いやすいかなって。そりゃ私はシイナが朔一筋なのは知ってるよ?でもみんながみんな、シイナのことを知ってるわけじゃないじゃん」
「確かに。表面だけ見れば…妬みの対象にはなるのかもな。俺は自分のことそんな風には思えないし、よく分かんないけどさ」
「じゃあ、パターンとしては…」
ちーちゃんが鞄からルーズリーフを一枚と筆箱を取り出した。
”A“と書いて、丸をいくつか書く。
私と渚先輩と朔の名前。それから“犯人“。
ドラマの相関図みたいに線を引いていく。
「カフェでシイナに恋をした犯人。声をかけるも”彼氏“だと名乗る男が現れて、機会を逃す。でも、本当の彼氏は別の男だった」
「ちょっと待って」
「ん?」
「文化祭での嫌がらせは?この人達が現れるよりも前のことだよ?」
「んー、例えば犯人には弟か妹が居て、共犯者になってもらった。シイナを困らせて、あたかもヒーローのフリをして姿を現すつもりだった、とか」
「それじゃあ最初から朔が彼氏だって知ってそうだよね」
「渚先輩が”彼氏だ“って言い出したけど、そこで異論を唱えたら自分がストーカーだってことがバレると思った。だから今回の事件を犯して”俺は知ってるんだぞ“ってことを訴えてきたってところかな?」
「無くはないよな」
「そうですね…」
ちーちゃんがペンを指先で回しながら私と渚先輩を順番に見て、それからルーズリーフを裏返してから”B“と書いた。



