「なんで…こんなことするの…?」

目覚めると、″どこかの部屋″はオレンジ色だった。
窓の外の、驚くほど綺麗な夕焼けのせいだってすぐに分かった。

夕焼けが眩しすぎて、霞む視界で私の前に立っている人を見上げた。

逆光で表情はよく分からなかった。

「好きだからだよ」

「え?」

「好きだから、こんなことしてるんだよ。おかしいかな?」

「おかしいよ!好きなら普通こんなことしない!好きな人を傷つけて脅かすようなことしないよ!」

「じゃあ、普通じゃないのかもしれないね」

悲しそうな声。
よく見えない表情のせいで、声だけが悲しそうに私に振り注ぐ。

私だって悲しかった。

悲しかった。

もう、戻れないんだ。