タカさんが見ていたテレビのニュースから顔を上げて答えた。


「お、いいなあ。
どこがいいよ。
箱根?伊豆?草津?
でも、今の時期、混むんじゃないか?
宿の空きがあるかねえ」

「えー、もうだめ?
場所なんかどこでもいいよ。
温泉があって、うまい料理と酒がありゃあさ」

「しかし、卒業旅行だなんだって時期だぜ。
結構高くつきそうだしなあ」

「安くて、うまくて、空いてる温泉旅館、ないかなぁ」


「……あるかも」


タカさんとカンジさんの会話に突然入ってきたのは、それまでニュースを見てるとばかり思っていたリョウさんだった。