「…眠い」 小さな声でそうつぶやき、俺は大きなあくびをする。 校長が壇上で熱く何かを語り、少し離れた所では号泣している女子もいる。 卒業式だ。 寂しく静まった空気の中、やけに冷静になっている自分がいることに気付く。 いや、冷静なんじゃなく、実感がわかないだけかもしれない。 …あいつとも、もう学校では会えなくなるんだな。 静かになってうれしいぐらいだ。 でも素直にそう言ったら、あいつは怒るんだろうな。