この恋、危険物につき取扱注意。

泣きわめくわけでもなく、呆然とした顔で静かに涙を流す。



俺の心の中が、罪悪感と真っ黒い気持ちでいっぱいになる。


「…失礼します」


乱暴に目をこすって俺に背を向ける沢瀬。





…めちゃくちゃだ。

人の気持ちに鈍感だったのは、俺のほうじゃないか。



今まで散々聞き流していた沢瀬の言葉が、全部本気のものだったとしたら?



怖かったんだ。


沢瀬の想いはあまりにも大きくて、本当に俺が受け止め切れるのか自信がなかった。

だから俺は逃げる道を選んだ。


沢瀬からも、自分からも。


沢瀬の告白の返事を考える前にあきらめて、なかったことにしていた。



その時はそれが1番いい方法だと思っていた。


でも今考えてみるとそれは、最低のことなんじゃないか― ?