この恋、危険物につき取扱注意。

「だって沖先パイが好きなのに他の人と付き合ったって、しょうがないでしょう?」

沢瀬が突っかかるような口調で何百回目かの告白をしてくる。

それがまた俺を刺激する。


この状況で、またそれか。


俺は歯をくいしばり、力任せに怒鳴った。


「優しい奴がいいんなら、俺より里季の方が優しい!里季なら、お前にどれだけ付きまとわれたって優しくしてくれるはずだろ!?人の気持ちに鈍感なんだよお前は!わかれよ、俺がずっと迷惑がってたことぐらい!!!」


こんなに声を荒げたことは今までなかった。

長いセリフを一気に言ったせいで、渇いた舌がのどにはりつく。



何もかもがあまりにも静かだった。



沢瀬ならもっと大声で反論するかとおもったのに、それは違った。

怖いぐらいに落ち着いた静かな声で、


「先パイは駿河先パイと付き合わない私を責めますけど…、そこに…私の気持ちは関係ないんですか…?」


こいつの泣き顔を、初めて見た。