俺たちのそんな会話も知らず、沢瀬はいつものように俺の後ろをついてくる。 「先パイっ、今日もかっこいいですね!」 うるさい。 「先パイ、ステキすぎますっ!」 黙っててくれ。 「大好きです先パイ!」 うるさい――― 。 もう我慢の限界だった。 耐えられなかった。 力いっぱいこぶしを壁に叩きつけて、俺は沢瀬を睨みつける。 叩いた壁の奥から、鈍い音が響いた。