この恋、危険物につき取扱注意。

「沖、ちょっと来い」


いつもの茶化すような口調とは違う低くくぐもった里季の声に、得体の知れない違和感を感じた。





沢瀬が散々しゃべって自分の教室へと姿を消した頃、里季がためらうように口を開く。


「…なぁ、沖?」


「何だよ」


「沢瀬さんのこと、好きか?」


里季の突拍子もない質問に激しく首を横に振ると、里季はほんの少し安心したように微笑んだ。


わかってる。



この先に、里季が言うことを。



わかっていた。


きっともう、ずいぶん前から。

けれど俺は今までずっと、知らないフリをしてきた。




これからも、そうするはずだった。



「俺…。沢瀬さんのこと、好きだ」