「何だよ、いきなり」



「沢瀬さんのクラス、次体育だったみてー」


里季の見ているほうへ視線を向けると、沢瀬が授業に遅れて教師に怒られていた。



「バカだろ…」


と呆れてつぶやくと、聞こえているはずもないのに沢瀬と目が合った。


沢瀬の表情が途端に明るくなり、運動場を突き抜けて教室に響き渡る大声で、




「沖先パーーーーイ!!愛してまぁーーす!!!」


と叫ぶので、俺は急いで運動場側の全ての窓を閉め、クラスメイトの痛い視線と里季のムカつく笑い声に舌打ちをしながら黒板に向き直った。