4月には全然実感することのなかった「受験」という単語に、最近やっと危機感を覚えるようになった。


この高校を卒業して、俺は一体どうするのだろう。


流れる風に質問を投げかけても、答えが返ってくることはない。




そのせいで、今まで以上に沢瀬の相手をすることがなくなった。




沢瀬は小さな子供みたいに俺の周りをうろちょろして、俺が相手をしないとわかるとしょんぼりと肩を縮めて去っていく。


そんな日がしばらく続いてそろそろ我慢の限界に達したのか、沢瀬が不機嫌そうな声色で訊ねてきた。



「先パイ、最近どしたんですか?…あっ、まさか恋の悩みとかいうんじゃ…」



「ちげーよ」