沢瀬が目をしばたたかせて、状況がわからずに視線をさまよわせる。


「バカかよっ」



そうののしっても沢瀬がぽかんと口を開けたままなので、俺は首をかしげる。


「どうかしたか?」




「…うれしいです」


「は?」




「初めて、私の前でちゃんと笑ってくれましたね」



何言ってんだ、お前。


そう言いたかったけれど、何も言えなかった。



今口を開いたらきっと、この動揺が隠し切れない。