この恋、危険物につき取扱注意。

「沖ー?大丈夫か?」



里季が俺の目の前でひらひらと手を振って見せるが、俺は無言で思考を巡らせていた。



待てよ、俺。

今、何を言おうとしていた?



何も考えずに口を開いたからわからない。


けれどそこで言葉を切るということは、俺は無意識のうちに何かを察したのだろう。




これを口にしてはいけないと― …。





全てのことが何となくぎこちないまま、秋の始まりを告げる風が木々を揺らした。